Client Voice PMOチームの確立で得られた、大規模プロジェクト推進のノウハウ
出資企業が変わったことで生じた開発プロジェクトの変化
2006年、ペイジェントはDeNAが三菱UFJ銀行と農林中央金庫と共同出資し、設立されました。
元々は決済システムの開発/運用をDeNAの一部門として行なっており、当時は案件の規模も大きくなかったため、障害対応等のイレギュラーケース以外は、四半期(3カ月)サイクルで開発とリリースを繰り返すスタイルが定着していました。
しかし2019年、株式譲渡によりNTTデータの子会社となったことで状況が大きく変わることになります。
「当時、私は部署にいなかったので、前任者から聞いた話になりますが…」と前置きをした上で当時を振り返るのは、システム部開発グループリーダーの根本氏です。
「当時のペイジェントは、小規模のプロジェクトを短期間で素早く回すという開発スタイルが根付いていました。しかし、NTTデータから依頼される案件は大規模のプロジェクトになることも多く、複数のチームが長期にわたって携わるような開発スタイルへの対応が求められるようになりました」(根本氏)
しかし、当時のペイジェントは小規模/短期間に対応するための仕組みで動いていたため、大規模/長期間のプロジェクトに対応できる体制やルールが整備されていませんでした。
そこで、以前より開発メンバーとして参加していたARアドバンストテクノロジ株式会社(ARI)に、相談をすることになったとのことです。
「ARIさんは、大規模プロジェクトの経験も豊富です。それと、おそらくですが、開発パートナーとして長いお付き合いをしていたので、当時の担当者としては、気心も知れて相談しやすかったのでしょう」(根本氏)
PMO体制の構築により大規模プロジェクトの実施がスムーズに
ARIとペイジェントの間で打ち合わせを続けていく中で持ち上がったアイデアが「PMOチーム」の設立でした。
PMOとは「Project Management Office」の略で、部署やチームの枠を越えてプロジェクト全体の品質管理や進捗管理、さらには開発チーム全体の能力向上などの支援を行う組織のことです。
打ち合わせを重ね、社内の調整を行った上で、8月にPMOチームが立ち上がりました。
2021年7月現在、ペイジェント内では7つのユニットで9つの開発プロジェクトが進行中とのことです。
その中には、以前と同様に短期間で開発するプロジェクトもあれば、1年掛けて開発する規模のプロジェクトもあり、チームに関わっているメンバーはペイジェントの社員もいれば外部の協力企業の方もいます。
「ルールを策定しようにも、ペイジェント自身に知見が不足していたので、なかなか上手くいかなかったのですが、ARIさんが知識や経験をPMOチームにもたらしてくれたので、そのネックがクリアされました。今、動いているプロジェクトでも、機敏に対応していただいているので、各プロジェクトがスムーズに進行できています」と同社PMOチームリーダーの中野氏※は語ります。
※オンラインにてご参加
ウォーターフォール型からアジャイル型への移行を目指す
ペイジェントでは現在、2022年から運用予定となっている次期システムの開発に着手しています。
そして、このシステムは従来型のウォーターフォール型からアジャイル型での開発にチャレンジしています。
「次期システムの開発には、大規模アジャイルのフレームワークであるSAFeを利用して、スクラム開発を行っています。ここでもARIさんにご協力いただきながら、ペイジェントとしてのアジャイル開発を確立していきたいと考えています」(中野氏)。
ベンチャーのスピード感を持ちながら、大規模なプロジェクトも実施できるような開発スタイルを模索するペイジェント。
今、まさに大きな改革に取りかかっている最中の同社が、PMOチームに掛ける期待は非常に大きなものとなっています。
「何事も、最初に始めるのは大変です。ですが、立ち上がってしまえば、そのままスムーズに進むようになります。私達の中には、まだまだチャレンジしたいことは沢山あります。そこには、ARIさんの知見が必要です。なので、今後ともいろいろと協力いただきたいと思っています」(根本氏)