Client Voice 業務削減率49%を実現した、婚礼宴会業務管理システムの誕生秘話とは!
業界全体をハッピーにしたい。婚礼宴会業務管理システム「Phorbs」誕生秘話
すでに“成熟産業”のひとつと認識され、競争も激化の一途を辿るブライダル業界の中にあって、常にトップランナーとして走り続ける株式会社Plan・Do・See。社内システムのリストア過程で誕生した子会社、株式会社Analysys.が、そのノウハウが詰まった婚礼宴会業務管理システム『Phorbs(フォーブス)』をリリースし、早くも業界内で話題を呼んでいる。知られざる誕生秘話に迫る。
社内システム改善から生まれた新システム
ホテル・レストラン・ウェディング・バンケット等の運営・企画、コンサルティングなどを幅広く手掛ける株式会社Plan・Do・See。1993年の創業以来、躍進を続け、今では日本全国はもちろん、アメリカ、アジア各国に展開している。組織が拡大するにつれて生じる様々な問題を、システムを改善することで乗り切っていたという。
「データを分析して、戦略を打つのはもちろん、店舗単位で管理していた顧客データの共有を目的としたクラウド化にもいちはやく取り組みました。ところが、従来のシステムでは業務効率改善が実現できていないという問題が残されていました」という巽さん。
ウェディングプランナーの仕事は魅力的ではあるが、見積作成や発注など、いわゆるバックヤードのデスクワークが膨大に。その時間をスリム化すれば、もっとお客様と向き合い、素晴らしい提案ができるのではないかと考えたという。
「そこで私たちは、ブライダルの各業務を洗い出し、どのような仕事が行われているか?業務上の問題点はないのか?システム化できるポイントはないのか?と、詳しくブレイクダウンしていきました。すると当時、使用していたシステムが必ずしも業務効率化に寄与しないということが判明。システムの刷新をすべきという考えが生まれました」という石川さん。早速、社内プロジェクトを発足し、要望事項をまとめたうえで、業者選定に入ったという。
「ご紹介いただいたり、ネット検索して13社の候補先にお声がけさせていただきました。選定のポイントとしては、質問したときに“それはできません”と簡単に回答するのではなく、技術的には難しいけれども、こういう方法をとったらどうですか?と一緒に考えてもらえるベンダーを選びたかったのです」(巽さん)その考えは、株式会社Plan・Do・Seeに浸透しているサービス哲学がベースになっている。「お客様からリクエストが来たらノーと返さず、何か違う提案をするという考え方が社内に浸透しています。
私たちはシステムをつくりあげるのが目的ではなく、その先に使ってくれる人を想像してやっていかなければならない。思いが共有できるパートナーと組みたいと考えていたのです」最終的にARIをパートナーとして選択したのは、技術面はもちろん、そういったパートナーシップを重視したがうえの決断だったという。
「言われたものを、ただ“作ります”という会社が多い中、作ったことによって“御社はどうなる”といった部分までプレゼンしてくれて、僕らを盛り立ててくれたのがARIさんでした。またプレゼンの場に技術者だけでなく、経営陣の方もいらっしゃって、会社をあげてサポートしてくれる決意が見えたのも個人的に印象に残りました」(石川氏)。
実は、システム設計を進めている段階で、Plan・Do・See社内だけでなく、それ以外の会社にも拡販していくべきとの考え方が生まれていたという。「結婚式業界は、いまだにFAXを使って受発注をしたり、非効率な仕事をしているところも少なくない。システム化が遅れている業界なのですよ。確かにこのシステムに投影されるノウハウはPlan・Do・Seeが培ってきたもの。しかし、自分たちだけではなく業界全体を良くするべきだという考え方がオーナーをはじめとする経営層の共通認識でした」という宮本さん。
競争がないところで作り上げる商品は進歩が遅いし、お客様に良い商品を出し続けるというスキームができない。「業界全体が効率化していって、その中でどこの会社が一番良いサービスを提供できるか?本質の部分で競争してはじめて長期的に会社が繁栄するのです」(宮本さん)
「最終的には、Plan・Do・See以外の会社も利用できるサービスとしての展開を考えていたため、単なる開発会社ではなくて、一緒にあるサービスを提供していける会社としてお付き合いができるかというところで、ARIさんが信頼ができると判断したのです」(石川さん)
一丸となって困難なプロジェクトを乗り切った
パートナーを選定し、早速、要件定義に入ったという。ARIとプロジェクトメンバーだけでなく、現場の代表者にも参加してもらいながら仕様を固めていった。
「私たちはあくまでも現場に立つ店舗スタッフがやりたいことを翻訳してARIさんに伝えていくという認識を持っていた。私たちが決めるのではなく、あくまで、使いやすさを判断するのは現場。ウェディングプランナーとARIのメンバーとのコミュニケーションの中で仕様を決定していきました」(石川さん)要件定義の段階において、ARIの提案による“ウォークスルー”を取り入れたのも有効だったと石川さんは振り返る。
「私たちが考えた業務フローを元にシミュレーションを行い、それを現場のスタッフに見てもらいました。お客様、プランナーなど役割を決めてシナリオに沿って業務が回るのかを確認する場をセットアップしてもらいました。イメージがつかみやすく、問題点の洗い出しもスムーズに実施できました」(石川さん)開発期間は、想定よりも長引いた。要件定義の段階で対応領域が広がり、元々予定していたプラットフォームでは難しく、実装方針を根本的に転換したからだ。
「プラットフォームを選びなおすのではなく、ゼロからスクラッチで作ろうという方針に変更して、工数が飛躍的に増えてしまった。そこが第一の山場になりました」(巽さん)
第二の山場は、一店舗への導入段階で迎える。データ移行や、想定していなかった仕様の漏れなど様々な問題が出てきた。「一回、以前のシステムに戻して、もう一度しっかり検証してから再チャレンジしようと。結局、良いシステムができあがらなかったら、私たちだけでなく、その先にいる現場の方々が困ってしまう。ここはARIさんと一致団結して突破していくしかないと、私たちにできることはないか?と、ARIさんのオフィスに伺って検証もお手伝いもさせていただきました」(巽さん)一店舗目に納品したタイミングでプロジェクトに参加した汪さんも、当時の様子をこのように振り返る。
「前のデータを『Phorbs』に移行してちゃんと動くのかというテストをARIのオフィスで一緒にやらせていただきました。大変な作業だったけれど嫌な顔ひとつせず、真摯に対応してくれました。私たちを温かく迎えてくれて、とても働きやすかったのを覚えています」
新システムへの期待に手ごたえを感じる
その成果もあって、2度目のトライではスムーズな導入が実現。初導入から実に1年の期間をかけて、全国の店舗への導入が終了した。「達成感というか、実感を覚えたのは、それからしばらくたってからのこと。使いやすいよという声がだんだんあがってきてからですかね」(石川さん)
全国の店舗への導入が終了して、現場からアンケートを収集。そこで一定の評価を得たものの、Plan・Do・See以外のお客様に提供するという段階になると、果たして本当に評価されるのかという不安もあったという。「はじめてのお客様はPlan・Do・Seeを卒業された方が経営する結婚式場。現場に伺って、レクチャー経験を積めば積むほど、改めて“良いシステム”だなと実感。そういうことをコツコツやって自信がついてきました」(巽さん)今年の6月、東京ビッグサイトで開催されたブライダル産業フェアに出展。手ごたえを感じ、そこで出会った結婚式場やホテルとの商談も進んでいるという。
「ホテル、レストラン、結婚式、この三業態が全体的に効率化していって、そこで働いている人たちがもっとハッピーになれる、そんなシステムを提供できると確信しています。実際に、Plan・Do・Seeの現場で活躍するプランナーの働き方も変わってきました。お客様に向かう時間が増えることで、お客様もハッピーになっていると感じています。業界全体がハッピーになるためには、『Phorbs』のみならず、今後もまた、新たなシステムを開発していきたいと考えます」(宮本さん)
最後に、パートナーとしてのARIへの評価について聞いてみる。
「皆さん、ハードワーキング。対応も丁寧だし早い。いつも遅くまで仕事をしてくださっていました。お付き合いしていて楽しい方々も多く、一緒に働きやすい会社だと感じました」(汪さん)。
「真摯に仕事に取り組んでいる方が多い。他システムとの連携など、ARIさんが本来得意ではない分野の技術を求めることもあったりしましたが、そのときに自ら習得して穴を埋めていく努力をしてくださいましたし、それを楽しんで取り組んでいるように感じました。その技術的姿勢が尊敬できるポイントだと感じています」(石川さん)。
「誠実な会社だと感じました。手抜きもないし嘘もつかない。私たちが“実現できますかね?”と問うと、常に真剣に考えてくれました。考え方や向いている方向が一緒だと感じました。どうやったら、その問題を解決していけるかを両社が考えている。基本的にずっと前に進んでいる状態が続いていました」(巽さん)。
「システムを作る会社というより、課題解決をしてくれる、コンサルティング会社という側面が見えます。そういった素地がカルチャーとして浸透している会社。コンサル会社って大きなところから小さなところまでありますが、サイズ的にちょうどいい。コンサルができる人とシステムを作る人が近い距離にある。だからワンストップでソリューションを提供してくれるのだと思いますし、私たちのように新しいものを生み出そう、解決しようと考えている会社にとっては最良のパートナーだと思います」(宮本さん)
『Phorbs』の名の由来、それはパーティーのP、ホテルのho、レストランのR、ブライダルのBと、それぞれの頭文字を組み合わせたもの。さらに、“フォーブ”という読み方が植物を意味。草花のように店舗の成長をサポートしたいという思いが込められているという。その名の通り、あらゆるサービス業の業務支援が可能となるシステムとなるまで、さらなる進化を遂げていくことだろう。