Client Voice ターゲットは全国民!2万ページを超える中央官庁Webサイトの大規模リニューアルを成功に導いたその秘訣とは?その裏にある熱い想い!
『カスタマー』はすべての国民
2020年4月、ARアドバンストテクノロジ株式会社(ARI)は中央官庁のWebサイトの維持管理・運営プロジェクトを、企画競争の結果落札、プロジェクトが始まりました。
このプロジェクトでは、単なるWebサイトの作成更新ではなく、最大のミッションの一つとして、ユーザー体験を意識したUXの改善がテーマにあり、その実現に向けARIの「UI/UXデザイン部」のデザインコンサルタントチームが主体となって取り組むことになりました。
Webサイトのボリュームは2万ページ以上を誇り、当然ながら更新頻度も高く、更には中央官庁から発信されるサイトであることから、扱う情報の中には非常にセンシティブな内容も含まれるとのこと。
ご担当者は当時から「一般的なWebサイトやECサイト等とは異なり、『カスタマー』は”すべての国民”であり、“等しく”かつ“正確に”行政情報を発信する責務がある」という熱い想いを我々に語っていたといいます。
難航しながらも合意形成できたKGI(Key Goal Indicator:目標達成指標)
ご担当者は「ARIさんは落札後、本格的なプロジェクト開始前から積極的にWebサイトの内容について事前にキャッチアップしていってくれました」と話してくれました。
しかし、当時プロジェクトチームが最も悩んだのが「プロジェクト目標の設定」でした。
プロジェクトを推進する上で、チーム全員が共通の認識をもつことはこれまでの実務経験から十分認識していたため、先ずは目標を達成する上で大切な大目標であるKGIを検討することに。
売上げや利益を目的とするビジネスサイトと異なり、国の行政情報を発信するサイトにおいて、何を目標に、何に重きを置いて取り組むべきか、この基本的かつ普遍的な課題から、検討・議論しました。
最終的には双方が納得できる指標を設定できたものの、その過程では次のような議論も交わされたそうです。
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・KGIを設定する上で民間企業の存在目的のひとつである利益追求は、今回は当てはまらない。
・数多の変数から数式的に解釈し、KGIを設定することを可能とする。
・Webサイトの本質的な存在意義に立ち帰り、もっとシンプルに、本来の目的に照らし合わせるべきである。
いざ、Webサイトの本格運用へ
設定したKGIをベースにPDCAを回すべく運用に臨む中で、すぐに大きな課題が見つかりました。
インターネット黎明期からの長期にわたる運用の結果、管理するページは、数万ページにもおよび、セキュリティの確保やその他のシステム的制約により、最新のコンテンツマネジメントシステムが利用できない中で大量のコンテンツを管理する必要がありました。
健全なWebサイト運営を推進するためにも「公開ファイルの棚卸」をする必要がありました。例えば、膨大なファイル群からリンク切れや単独ファイルの検出をするためにも、まずはいかに効率的に作業できるか、ツールの選定や作業要領を確立しました。
更に、サイト全体のデザインや動作の共通化・規格化に努めた成果から、ファイル数をおおよそ当初の半分にまで整理できました。
「半年の時間を要し、やっとWeb解析のスタートラインに立つことができました」というご担当者の言葉は印象的でした。
想定外の対応を余儀なくされた新型コロナウイルス
中央官庁の運営プロジェクトが始まって間もなく難題として立ちはだかったのが新型コロナウイルス感染拡大防止対策でした。
単純なリモート勤務を導入するという訳にはいきませんでした。セキュリティ的な観点からも一部の業務についてはどうしても省内での作業が必要でした。
このため、前年度まで運用されていた業務フローを根本から見直す必要に迫られました。
そのような状況下でも、トライアンドエラーで新しい業務フローを推進した結果、「セキュリティに留意した上でリモート対応できる体制づくりをARIが提案してくれて、なんとか切り抜けられました」というお言葉をいただくこともできました。
国民に寄り添った中央官庁のWebサイト運営
中央官庁特有の事情や新型コロナウイルス感染拡大防止対策下での運営など、様々な問題に直面しながらも1年間のプロジェクトを完遂することができました。
最後にご担当者は「私たちは、これからもより国民視点で情報発信をし続ける必要がある」それに加え「中央官庁をもっと身近に感じてもらえるような取り組みもより必要だ」とメッセージを残してくださいました。
UI/UXデザインの観点からも「ユーザー視点 = 国民視点」であることを肝に銘じて「適切な情報を早く確実に」届けることが必要になりそうです。