Client Voice アナログだった受発注業務をシステム化、生産性の大幅な向上が実現
独自の流通ルートによる新たな衣料提供サービス「DMM uni」
2020年3月2日、DMM.comは新たなオーダーメイドユニフォーム提供サービスである「DMM uni」を開始しました。
このサービスでは、中間業者をカットしたDMM.com独自の流通ルートによって、高い品質を保ったままの低価格化を実現しています。
そして、この流通ルートを確立するために必要だったのが、受注から納品までを一元的に管理するシステムの構築でした。
これまで衣料業界における受発注方法は、その多くが電話やFAXで届いた注文をExcelに手入力するなどのアナログな手法によるものでした。
そこにインターネットを用いた受発注システムを組み込めば、品質を維持したまま大幅なコストダウンが可能となります。
「これまで、アナログな作業で行われていたユニフォームの受発注を、ネットショッピングのような手軽さで迅速かつ安価で行える。それがDMM uni最大の特徴です」と語るのは、本プロジェクトを担当したセールスソリューション本部 ユニフォーム事業部 ディレクターの日野蓉子氏です。
ベンダー選定の決め手となった知見と熱量
サービスの開始に向けて、DMM.comではベンダーの選定に入りました。
そして様々な面から検討を重ねた結果、選ばれたのがARアドバンストテクノロジ株式会社(ARI)でした。
「ARIさんを選んだ理由は、なんと言っても豊富な知見と熱意です」とプラットフォーム事業本部 林笑美氏は当時を振り返ります。
コンペには開発に関わる担当者がほぼ全員揃い、ありとあらゆる疑問に対して熱心に説明する様子には日野氏と林氏も「圧倒された」そうです。
「提示された予算については、他にもっと安いベンダーさんはいらっしゃいました。ですが、あのプレゼンテーションを見た時に、この人たちとなら大変な作業も一緒にやっていけるように思えたんです」(日野氏)。
ちなみに、2020年3月頃のサービス開始を目指していた同プロジェクトでしたが、様々な事情が重なりプロジェクトのスタートは2019年の12月初旬にまでずれ込んでいました。
スケジュールが逼迫している状況を把握していたARIは、初回の打ち合わせ時にUIデザインがほぼ完成しているプロトタイプを準備していたそうです。
林氏によると、「もともと、UIのデザインは社内で行う予定でしたが、プロトタイプの完成度が高かったので、そのままARIさんにお願いすることにしました」とのこと。
大きな壁となった倉庫システムとの連携
DMM uniのシステム構築において、もっとも大きな壁として立ちはだかったのは倉庫システムとの連携でした。
「受注から納品までをシステムとして一元的に管理するためには、商品の保管と発送を管理する倉庫システムとの連携が必須でした。ただ、そのシステムは倉庫向けに構築されているオリジナルのものだったので、現実問題として連携のハードルはとても高かったんです」(日野氏)
システムのことを倉庫会社の人に尋ねても細かい仕様まではわからない。
そのため、連携するには、その倉庫システムを構築した「ベンダー」から情報を直接収集し、必要な場合には調整を依頼しなければなりませんでした。
この非常に厄介な問題を解消するために、ARIでは開発担当者自らが倉庫システムを構築したベンダーに赴き、細かい情報収集や調整を行ったとのことです。
「ARIの皆さんはフレンドリーで、なんでも気軽に相談できる親しみやすさがありました。厳しいスケジュールであるにもかかわらず、“サービスを利用するお客様のためにも妥協はしたくない”という姿勢に感動してしまって……なので、ついつい甘えて難しいお願いとかもしてしまうんですよ(笑)」(日野氏)
万全のリモート対応でコロナ禍の影響も最小限に
DMM uniのシステム構築は、2020年2月頃より発生したコロナ禍の真っ只中で行われることとなりました。
しかし、オフィスでの業務もままならない状況でありながら、スケジュールの遅れは「まったくと言っていいほど」発生しなかったそうです。
「私たちDMMもARIさんも、お互いにテレワークの経験が豊富だったので、作業への影響はほとんどありませんでした。むしろ、お互いに自宅からWeb会議をすることが多くなったので距離感が近くなり、言うべきことを言い合える関係になれたと思っています。打ち合わせが盛り上がって、深夜におよぶこともありました。」(林氏)
もちろん、まったく影響がなかったわけではありません。
サービスを提供する顧客との契約交渉が滞ってしまったため、機能の一部を制限せざるをえなるということもありました。
しかし、全体として開発は順調に進み、プロジェクト開始からわずか3ヶ月後の2020年3月2日にWebサイトがオープンし、DMM uniのサービスが開始されることとなりました。
さらなるサービスの拡大に向けて続く二人三脚
DMM uniのサービスは、まだ構想の一部がスタートしたばかり。
今後も、新たなるサービスの追加や規模の拡大が予定されています。
その手始めとして2020年6月29日より「委託サービス」が開始されました。
これは、百貨店やデパートなどが独自のブランドをDMM uniのシステムを利用して受発注が可能となるサービスです。
さらに、その先のフェーズとして、複数の倉庫との連携が可能となるようなシステムの拡張も検討中とのことです。
「まだまだ、やりたいことはたくさんあります。今のところは、大手のお客様をターゲットとしていますが、中小規模のお客様でも対応できるように、コスト削減のための機能改修も予定しています。ARIさんとは、”システムにおける顧客”という枠を超えた、エンドユーザーへの満足度という”ミッションを共有する”相棒として関わっていただけると幸いです」(日野氏)。