Client Voice 建設DXを支えるアプリ基盤をゼロから再構築。Cursorを活用したAI駆動開発とUI/UXデザイン先行アプローチで生産性向上に挑む
株式会社EARTHBRAIN
コマツ、NTTドコモビジネス、ソニーセミコンダクタソリューションズ、野村総合研究所の4社のジョイントベンチャーとして設立されたテックカンパニー。建設業界のDXを実現するために、測量から施工、書類作成までの全プロセスをカバーするソリューション「Smart Construction®」を提供している。豊富な資金力とスタートアップの機動力を併せ持ち、状況の変化に合わせてスピーディにプロダクトを開発していく強みを持つ。
国土交通省ガイドラインの壁とプロジェクトの再始動。ゼロベースからのSmart Construction Groupware再構築
EARTHBRAINが展開する「Smart Construction®」の中で、発注者と受注者間のファイル共有や電子納品など、情報共有基盤としてのバックオフィス業務を担うのが「Smart Construction Groupware」です。
当初はファイル管理システムとしてスタートしましたが、公共工事で広く使われるためには、国土交通省が定める情報共有システム(ASP)の厳しい要件に適合させる必要がありました。
しかし、開発の初期段階で大きな壁に直面します。前体制から引き継ぎを担ったプロダクトマネージャーを務める平田氏と、プロジェクトマネージャーを務める山縣氏は、当時の状況をこう振り返ります。
「国土交通省のガイドラインは非常に詳細でありながら、解釈の余地が多く、システムへの落とし込みが困難でした。適合リストに載らなければ、現場でシステムとして選定すらされないため、ここは絶対にクリアすべき壁でした」(平田氏)
「単にアジャイル的に作りながら考えるという手法だけでは、国土交通省が求める厳格な機能要件を満たすのは難しく、手戻りが発生していました。これまでのやり方を変え、自分たちで責任を持って要件を把握し進めていく覚悟が必要だと感じていました」(山縣氏)
そこで同社は、これまでに開発したコードをすべて破棄し、ゼロベースでプロジェクトを仕切り直す決断を下します。この重要な局面で開発を引き継いだのがARIでした。
Figmaによる「デザイン先行開発」で、形のない要件を具現化
ARIはプロジェクト参画にあたり、まずUI/UXデザインチームが介入し、国土交通省が定めるガイドラインやEARTHBRAINの要求事項をFigma上で画面デザインに落とし込む「デザイン先行開発」を実行しました。
デザインが先行して可視化されたことで、開発陣が着手すべき要件が明確になり、2週間のスプリントで順次リリースしていくという強固なアジャイル開発サイクルを確立。掲示板、カレンダー、ワークフローなどの機能が次々と実装されていきました。
開発スピードを追求するCTOの決断、「Cursor」でAI駆動開発を加速
プロジェクトが軌道に乗る中、EARTHBRAINでは全社的なAI活用の機運が高まっていました。
同社のCTOは「市場にいち早くプロダクトを届けるためには、スピードを阻害する要素を排除し、AIを積極的に活用すべき」との考えのもと、トップダウンでAI活用を推進しました。その方針は開発パートナーにも共有され、AIを積極的に活用した開発体制の構築が進められました。
AI領域に深い知見を持ち、全社的にエンジニアのAIツール活用を推進していたARIは同社の方針にも即座にフィットし、両社が歩調を合わせる形でAIコーディングエディタ「Cursor」を実案件に導入し「AI駆動開発」へと舵を切りました。
前例のない「生産性測定」の議論と、ARIからのプロアクティブな提案
AIによる高度なコード予測や提案により、エンジニアの思考負荷が軽減され、単一作業の時短にとどまらず複数のタスクを同時に並行処理できるようになったことで、開発全体の生産性が飛躍的に向上したと感じる一方で、「AIによる生産性向上をどのように定量的に測るか」という、新たな課題も浮上しました。
EARTHBRAINとARIは、アジャイル開発における作業規模を示すベロシティやストーリーポイントを用いて、生産性を可視化するための議論を重ねたと言います。
「AIによってこれまで時間がかかっていたタスクが簡単に終わるようになると、相対的にストーリーポイントの評価基準も変わってしまいます。数字上だけでは見えにくい生産性の変化をどう定義するか、ARIとは現在も試行錯誤しながら一緒に考えています」(山縣氏)
最適解を共に模索するAI活用の取り組みにおいて、ARIのスタンスは同社から高く評価されています。
「ARIからは、CursorのエージェントのSkillsの設定による効率化や、世の中のAI活用の最新トレンドを踏まえたプロアクティブな提案が次々と上がってきます。AI駆動開発を共に推進してくれるパートナーとしての存在は大きいです」(山縣氏)
主要機能の実測を完了し内製化へ。AI活用の最適解を共に探るパートナーとして
掲示板やワークフロー、電子納品など、想定していた主要機能の実装が概ね完了し、本プロジェクトはEARTHBRAINの内製へと引き継がれるフェーズを迎えました。
プロジェクト全体を振り返り、両氏はARIの貢献を次のように総括します。
「ゼロベースの段階からアプリケーションの基盤とUI/UXの設計をしっかりと作り上げていただいたことが最大の貢献です。その強固な基盤があったからこそ、マイルストーンを確実にクリアし、機能を形にすることができました」(山縣氏)
今後の展望として、Smart Construction Groupwareの利用者をさらに拡大するとともに、生成AIを用いた独自の付加価値をユーザーに提供することを目指しています。
「他業界でのAI活用事例や成功体験など、新しい風を吹き込んでくれることをARIには期待しています。今後も、AIを前提としたプロダクト開発において、共に知見を深めていきたいと考えています」(平田氏)
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